管と鳩山の評価

6/2午後の衆議院本会議で、野党3党の提出した
  内閣不信任決議案は、賛成152、反対293
  の大差で否決された。 その当日朝まで情勢は
  不明、むしろ可決されそうな雰囲気まであったのに、
  当日になって一変し、大差で否決されたのは、
  当日正午から開かれた民主党代議士会で、
  管首相が行った退陣表明演説のためである。

「一定の役割が果たせた段階で、後進に道を譲る」、との
  管の意向を表明した10分あまりの演説が終ると
  拍手が沸き起こり、菅首相の政権運営を批判し、
  当日の不信任案には賛成票を投ずる心算で居た
           同党代議士の殆ど全部は、
  本会議での投票は、反対票を投ずることにした。

野党提出の決議案に賛成票を投じるのは、党への造反
  になるから、皆かなり考慮をしていた筈なのに、
  それが反転したのは、その当日の午前に管首相と
  鳩山前首相とが会談して、菅首相が早期に退陣する
  ことに同意した、と伝えられたため、である。

この会談で、その寸前まで不信任案へ賛成することを
  表明していた鳩山が反対に転じ、
  代議士会で発言して、その考えを述べたからだ。 

ところが、その日の夜になると、菅首相の退陣時期の
  理解が双方で食い違っていたことが露呈し、
     鳩山は、管をペテンだと言い、
     菅は、辞任の約束をしたことを否定
した。

鳩山は、「(採決の)直前に菅首相と会って、復興基本法
  の成立と、第2次補正予算案の早期編成のめど
  がついた時点での辞任で折り合いがついた」、と言うが、
管は、「原発問題に一定のめどがついたら後進に譲りたい、
  とは言ったが、辞任の約束はしていない。 一定の
  めどとは原発の冷温停止だ」、と言っている。
鳩山は今月中にもと思っているし、菅の方は、そもそも
  冷温停止まで行けるかどうかも問題で、半年や
  そこらではどうにもならないのだから、めどがつくのは
  何時の事か分からない、との前提で言ったつもりで居る。

こうした事後になっての主張の食違い、をを防ぐために、
  大人の知恵としては、合意事項を書面で纏めて残すものだ。
  2日の午前に行われた管・鳩山会談での確認書
  なるものが公開されたが、菅の言うとおり、
  そのどこにも、彼が辞任するという文言は無い。

3項目の記述があるが、 ①民主党を決して壊さない
  ②復旧・復興に向けて最大限の努力をする
  ③民主党中心の政権を自民党に戻さない、
  という調子で、辞任などの文字は皆無である。
  その上、両者の署名も無い
  確認書などと言うものでなく、単なメモ、である。

世間の見る目では、鳩山は上手く管に騙された、ということ
  になる。 天下国家の重大事が有るわけでない、
  こんなものを披露する鳩山の幼稚さもさることながら、
  求められたのに、署名しなかった管のずるさも、
  それで済ませた鳩山のトロさも、毎度通り
、である。

      ★ ★ ★ ★ ★

周囲の思っても居なかった形で、内閣不信任案を
  切り抜けた管だが、私の想像では
  彼の計算違いが一つあった、ように思う。
  今までの彼は、この様な手を使って当面の状況を
  切り抜ければそれで、事は収まっていたが、
  今回はそうはいかないだろう点、である。
お坊ちゃんの鳩山が口汚く、「ペテン師」呼ばわりまでした、
  この経緯を、世間が周知したこともあり、今後は
  管が何を言っても、誰も相手にしなくなる。
  今後の政治状況は、時間と共に厳しくなり、
  この不信任案だけ切り抜ければ・・・、とは
  ならない、であろう。


でも、この一連のドラマを見ているうちに、
  私は 一つのことに気が付いた。
  鳩山は、管をペテン師と言っているが、
  菅自身は、自分のことをそうは思っていない
        のではないか、ということ
、である。
  半世紀前に猛威を振るった新左翼の常で、
  相手に対する尺度と、自分に対する尺度は違う
  のである。

若しも立場が逆であったら、菅も相手のことを
  ペテン師と思うだろう。 しかし、同じことを
  やっている自分自身を、ペテン師とは思わない。

こういうと普通の人は、それはおかしいと思うに
  違いない。 でも、新左翼はそういう連中であった:
   ▲紛争学生と、テロリストの正体:[B-45]
   ▲性悪説論者の弁(2):[B-25] 、  参照

  それでも世間は、ある期間は彼等に声援を
  送っていた。
  浅間山荘事件で、世間の見る目は一転した。
今回の「不信任案切抜け技術」が、いわば
  浅間山荘事件になるかもしれない。

それにしても、新左翼に限らず、菅に限らず、
  一般には意識されていないが、 世の中には
  自身に対する尺度と他人に対する尺度とが
  違う人は、随分と多く居る。


  待ち合わせで、自分は一時間遅刻しても平気
  だが、相手が5分遅れると大騒ぎする人が居る。

こうしたタイプは、何も底辺階層でなく、寧ろ社会的
  に偉い人にも多い。 或いは、その様な身勝手さ
  のお陰で、彼らは偉くなった、のかも知れない。
     丁度、菅が総理大臣に上り詰めたように。
  一例を、旧い記事で紹介する:
   ▲ {前置き[3b]老害事件}:[C-8]

 ★ ★ ★ ★ ★

管総理の評価に関連する記事のリスト、をメモって置く。

▲[11/5/30] :週刊誌の健闘:[L-77]
▲[2011/4/6] :巨大地震と第3の維新(3):[C-248]
▲[2011/3/30]:巨大地震と第3の維新(2):[C-247]
▲[2011/3/30] :巨大地震と第3の維新(1):[C-246]
▲[2010/1/10]:現内閣への失望と長妻氏への期待:[C-196]
▲[2009/12/14]:平野博文官房長官:[C-195]
▲[2009/10/4]:理系内閣誕生の意義:[C-188]

この記事へのコメント

痩せ蛙
2011年06月10日 02:20
相手の発言の内容が気に入らなくても許さないのに、自分に対しては殺人でも許していた連合赤軍。 言われてみれば、管さんは、その思考パターンは当時の新左翼と同じですね。六月九日の”おひさま”ドラマで、家族から徴集されていく人が出た時の切ない場面。 それほどの大昔でもないのに、徴兵とか新左翼とかいう恐ろしい者があったことを今の若い人は知らないのでしょうね。

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