再掲:『血税の使い方』

再掲の前置き:

   私のブログも、これまでに150の記事を公開した。
   その節目、ということもあり、また、全ての記事の中で、
    私が最も強く、人様に御読み戴きたく思っているのが、
{血税の使い方}:[C-9] 私の独り言: [1978/4/5] [2005/7/4] 
   なのだが、2年前の2005/7/4公開で、総目録の中では
   古い場所に在るので、
      この際此処に、再掲しておく。

先日、佐久間先輩の記事:伝統文化と常識の変遷(1) :(6/25)、のなかに、
体験しない事は本当には分らない、というのが、人類の限界なのだろう。
 そして、「共感」とは、思想信条とか、意見の一致とかよりも深い、人間の根底で発生する。   ・ ・ {註:例えば沖縄戦で実際の弾丸に曝された人だけでなく、戦後生まれでも、愛する親・兄弟からその体験を聞かされた人も含めた心算で、『体験者』、という言い方をしている。}
という記述があった。

親の無念さが、私の無念となって、この『血税の記事』にこだわるのである。


★ ★  ★ (再掲) ★  ★ ★ ★ ★

血税の使い方     1978.4.5

 ことしの所得税確定申告のシーズンも終わった。
 毎年この時期になると私は思い出すことが一つある。
多分、小学一年生のころのことである。
ある夜、私をはさんで寝床に入った父と母が、
  私が寝たものと思って交わしている会話を盗み聞きした。

 「税金なんて、泥棒にあったみたいなものだな」
   と、父がいった。  母が相づちを打った。
難しくて理解できない話の間に、”恩給亡国”という言葉もでた。
寝たふりをして聞いている私は、

父や母をそれほど悲しませ苦しませる
   税金や役人というものに、
   激しい憤りをおぼえた


 私の生家は田舎の、しがない小売商店であった。
父母は毎朝6時には店を開き、夜は12時近くまで
          閉店しなかった。
隣の菓子屋も、その隣の雑貨屋も、みな同様だった。

こどもの私達兄弟も、小学校に入る頃から店の手伝いをした。
買い物客が断続して、昼食が3時間以上かかることも
   しばしばあった。  父は便所に入っていても、
   店頭に客の声がすれば、途中で飛び出してきた。


都会のデパートの客とは違って、現金収入の少ない
    農村の客は、買い方がしぶかった。
店頭で長々と雑談をし、値切り、しぶり、いばり散らしてから
   でないとわずかばかりの物も買わなかった。
そのようにして20分がかりで1袋70銭のはみがき粉を
   売っても、利益は1銭くらいしかないことを、
   子供の私は知っていた。

あのような思いをして父母が稼いだ金を、
   泥棒のように持っていく、『税金』なるものに、
   憤りをおぼえた。



 数年前の学園紛争のとき、国有財産である大学の
   窓ガラスなどを、極めて気楽に破損する学生の姿に、
   私は腹を立てた。
   しかし、これらの学生に妙に物わかりの良い教授
   たちに対しては、さらに何層倍かの憤りを感じた。

彼らの胸ぐらをつかんで私は言ってやりたかった。
 ガラス一枚分の税金を納めるために、私の父母は、
        田舎者のわからずやの客に、
   何百回頭を下げたのか、知っているか-と


同様な激情は、国電車両にデカデカとスプレーされた
   ”春闘勝利”を見るときにも私をおそう。
   成田の管理塔を襲撃したメンバーには、郵便局員が
   何人かいた、との報道を聞いたときには、
   頭に血ののぼる思いがした。

 税負担の極端な不公平、
   税金を費消する親方日の丸族の感覚が、
      神経を逆なでする。
   自分らが税金を納めなければ、
    日本の社会が成り立っていかないのだ、
   という気持ちになり切れぬところに、
      私達の不幸がある



 米国のダラスのすばらしいハイウエーを、バス旅行して
  いた時、隣席のたくましい体格の農夫が話しかけてきた。
 「立派な道路だろう。 みんな俺達の税金で出来たんだ」。
       彼は胸を張ってみせた。
「税金が高すぎるという声もあるぜ」 
「そんな文句をいう奴に限って、高級車を乗りまわし、
   ビフテキを食って、ブクブクと太っていやがるのだ。
   とんでもないやつらだ」。

 私はまぶしいような思いで彼を見、
   米国の健全さをそこに見た。
 

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