「単一通貨『円』窮地に」、、という論説を、 浜矩子(同志社大学教授)が、2/5の新聞に 書いているのを読んで、びっくりした。 私は理系人間の技術者で、経済学なんて今まで全く無知 であり、このブログで最近数編の記事に書いてきたように、 経済学のイロハを知って嬉しくなっている程度の人間である。 ところで、浜氏の論説では、この狭い日本国内で 「円」という単一の通貨を保持し共有していくことが ピンチだ、 というのだ。 . 今まで考えたこともない話だが、 その主張を読むと、非常に納得がいくだけでなく、 最近我々仲間がもやもやした気分で書いてきた記事、 例えば、ピアニスト君の: ▲革命への予感: [A-146]、 とか、 私の: ▲比較優位の経済学:[C-275] と、非常に良く似た感覚が、この論説の基礎に 共有されているのを感じる。 ★ ★ ★ ★ ★ 浜氏の所説を簡単に紹介すると、次のようになる: 或る地域が単一通貨圏として安定に存在出来るためには 二つの条件の中の、いずれか、が要る。 . その第一はエリア内の何処でも経済実態が完全に同じこと。 物価水準、失業率、賃金水準、金利、などの全てが同じ ならば、エリアの中に幾つもの国があっても 単一の通貨を共通に使用できる。 そのような状態でない場合にも、しかし、 単一通貨の導入は可能であり、そのための条件は、 中央所得再分配装置が確保されていることである。 つまり豊かな国からカネを巻き上げて貧しい国に補助金 を出し、購買力格差を埋める仕組みがあれば、 単一通貨圏は可能である。 . こう考えると現在のユーロ圏は、 単一通貨圏としての存続が無理なことが分かる。 が、それ以前に、国民国家の多くも、 従来単一通貨を可能ならしめてきたのは、 上記の第一条件でなく、実は第二条件の方だった。 例えば、イタリアでは働き者の北部が怠け者の南部を 養っていたが、北イタリアは独立し独自の通貨を 持つことを主張して今日の北部同盟が政界に躍り出た。 統一ドイツの誕生以来の東西格差の問題。 ベルギーの南北地域の大きな経済格差。 ポンド単一通貨圏の英国でも、スコットランドが 何時でも通貨独立に踏み切れるように身構えている。 ★ ★ ★ ★ ★ こうした情勢を概説した後に、浜氏は、 「日本の場合はどうか」、と問い直している。 「円」という単一通貨を共有していなければならない、 ということでもない気がする、と、 びっくりするようなこと、を言っている。 . そのような視点も有ったのかと思うが、 言われてみると、国内の地域間の比較でなく、 職種の比較で物を考えると、 我々仲間が従来機会あるごとに言ってきたこと と同じ、ではないか。 偶々道路建設用地に住んでいたために、何もしないで 豊かになった人間・・・なんてのも居る。 逆に、地味な手仕事をして日本の輸出産業の底辺を 支えているが経済的にはあまり恵まれない人も居る。 生産的な活動は何もしなかったが、株の売買で 大金持ちになったのもいる。 居住地ではなく、このような職種の差に対して、 中央所得再分配装置が機能したならば、 どんなに良いか、というのが、 我々仲間が従来主張してきたことであった。 それに対して、円とは別の通貨を用意してもよいのではないか、 と言われれば、そのとおりだ、という気がするのだ。 . ピアニスト君の期待する革命とは、 イタリア北部同盟の主張と同じことになるのだ。 |
<< 前記事(2012/02/16) | ブログのトップへ | 後記事(2012/02/25) >> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|---|
大学生の学力(2)
前回の記事に見た様な大学生の質の低下、特に理系の 極端な低下があっては、既に以前のように 「資源に恵まれない土地柄だが、技術立国で社会を 成り立たせて行く」、ことは出来ない。 電子産業も自動車も世界での優位は、過去の話となった。 しかも、政治家も官僚も、この非常事態の認識が無くて、 手を打とうとする動きが出てこない、のを危惧して、 我々の仲間は何度も、ブログにそのことを書いてきた: . ▲[A-99]: 日本の非理系風土:[2009/7... ...続きを見る |
変人キャズ 2012/02/26 16:59 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|
<< 前記事(2012/02/16) | ブログのトップへ | 後記事(2012/02/25) >> |