信州大学の快挙(1)

今春、2013年の信州大学の入学式で、
旧制松本高等学校の寮歌「春寂寥」が演奏された、ことが、
   ▲旧制高校の寮歌(1):[L-112][13/7/12]
に紹介されている。
同じ敗戦国でありながら、教育理念に関しては
        自国の意思を曲げなかったドイツと比べて、
   唯々諾々と米国の意思に従ってしまった日本の
   戦後政治の最大の過失は、旧制高校の廃止、であった。
   人材の育成は国家成立の根幹であるのだから。

▲  60年前の回想(10):[C-212][2010/5/1]
   に書かれている経緯で、戦後日本の教育破壊が行われて

        ▲教育政策にモノ申す(1):[C-189]
        ▲ 教育政策にモノ申す(2):[C-190]
      のようなことにしてしまった半世紀だった。
今この時点で、戦前の旧制高校の教育の真髄を捉え、
   前例を見ない挑戦を行った信州大学に
             絶大な敬意を表したい。
。 
    ★ ★ ★ ★ ★
上に紹介した晩秋氏のブログ記事にも書かれている通り、
旧制高校が組織としての姿を消した昭和25年以後、
   殆ど全ての旧制高校の校舎などが取り壊された中で、
   唯一、校舎が残された旧制松本高校には、
   全国の旧制高校同窓会の事務的な中心機能が
   置かれたり、旧制高校寮歌祭などが行われたりしてきた。

しかし今や、卒業生生存者の年齢も超高齢化して、
   旧制松本高校自身の寮歌祭も、2013年5月18日の開催
   を最後に幕を閉じることとなった。
   各旧制高校の同窓会も(寮歌祭も)恐らく殆どは消滅
   していると思われる。

   旧制松本高校の場合も、厳密に言うと、現存する組織は
   嘗て公式に存在した同窓会の後身であり、
   それすらも今後の存続が危うい状態になっている。

    ★ ★ ★ ★ ★
信州大学長・山沢清人氏が今年度の入学式学長告示の中で、
   述べていること、入学式で寮歌を斉唱した理由は、
   「前身校の旧制松本高校の全人教育の伝統を誇りに」
   教育を行っていく心算だ、との意図だ
、という。
懐古主義ではなく、今の教育システムを考えると、
   大切なのは「全人教育」であり、根本的に人間教育を
   どうしていくか、信州大学独自のスタイルを
   模索していく必要がある、と山沢学長は言う。

それで、嘗ての旧制松本高校の産んだ人物の一例を紹介しよう。
60年前の回想(4){吉野文六氏の,『沖縄返還協定と「密約」』}
               :[C-205][2010/4/7]
に書かれている吉野文六氏も旧制松本高校の卒業生である。
芸術関係者などのようには、「同校卒業生」として
        世間一般に知られてはいない人物だが、
   このような人材を育てたのが、旧制高校であった。

佐藤総理の不誠実を見ても一切を胸に納めて口外せず、
   国のために沈黙を守る姿は、「樅の木は残った」
   (山本周五郎作)に描かれている原田甲斐の姿を思わせる。
   現世での得失どころでなく、歴史上に伊達お家騒動の
   大悪人として記憶されることになる不利益を引き受けてまで
   藩のために働いた原田甲斐の心事と同一である。
普通の人間ならば、生命はおろか、財産の損得の計算で
   行動を決める。 死後の名誉迄不当に損して国に尽くす
   のは尋常でない。
   人材とは、このような人間をいうのである。

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