2012年を振返って(1)

本年を振返ると、年末の選挙で、言葉に全く責任を持たない
  民主党3年間の政権が漸く終ったけれど、国民は何か
  すっきりしない印象を政治にもったままで、新政権を迎えた。

.
   若年者の就職難、高齢者人口の増加、世界一の
     国家財政悪化、東日本大震災の被害者救済、これら
     全てが、昔の日本ならば国の指導者が全力対応した筈の
     問題なのに、無策に放置したままに時間が過ぎていく
     感じである。 
   政治家の信賞必罰は無くなり、福島原発事故は菅首相
     による人災だとの評価まで有って、衆議院選挙は
     地方区で菅直人は落選したのに、比例区の手品で、
     管は議席を維持したままになった。

     ★ ★ ★ ★ ★

政治以外の出来ごとで、最も印象深く記憶に残るいのは、
  山中伸弥教授のノーベル賞受賞
である。 
これについては、既に
   ▲ 山中教授のノーベル賞(1):[C-293]
   ▲ 山中教授のノーベル賞(2):[C-294]
                に書いたことであるが、
見る角度を変えてもう一度味わい直したい。

何も、日本人がノーベル賞を貰ったことが嬉しいのではない。
従来の実績で、あんな奴がノーベル賞か、という日本人
  受賞者も何人かいた。 平和賞、文学賞等でなく、
  物理学賞、化学賞でも、極めて感心しない受賞者がいた。
これに比して、今回の山中氏の受賞は本当に嬉しい。 

山中氏は個人的に見るとき、決して無欠の人物ではない。 
  飽き易い性格て興味がよく移るとか、不器用で整形医
  として腕が悪かったとか、職場の上司に悪口を言われたとか、
  Wikipedia を見るといろいろと勇ましい話題が沢山ある。 
それにも拘わらず、私は心から氏の受賞を祝いたい気分
  である。 それは、ノーベル賞受賞が決まった直後に、
  最初のメデイア取材に本人が話した内容に、
  運の良さとか、部下の懸命な支持とかを具体的に
  述べているのが、素晴しいからである。
。 
このことは些かの説明を付けないと分かって頂けない
   かも知れない。

     ★ ★ ★ ★ ★

山中氏の業績がご本人の資質と能力の齎したものである
  のに異論は無いが、更に付け加えると、運の良さも寄与
  していることも、確かである。
人間の所業とは全てその様なモノだから、普通の場合、
  受賞が決まった時点でそのことを言わなくても、後から、
  時間のある時に、ご本人がその辺の説明をする
  のが普通であるし、それで差支えない。 

それを受賞が決まってメデイアへの対応が多忙を極めている、
  最初の時点で述べ説明するところが、御立派である。


   これとは逆に、以前のノーベル賞日本人受賞者で、少し事情を
     知る者から見れば、運の良さが受賞の最大要因であった
     人物が、その後もずっとそのことに触れずにいて、
     大分時間が経ってから、彼にその運を齎した人物が
     些か非難めいた口調でそのことを指摘してから以後、
     彼はその点にも言及するようになったことがある。
       {▲ 日本人四人のノーベル賞受賞:[A-90]、参照}

部下の寄与の大きさも、山中氏は最初から口にして居た。 
  これも上述の「運の良さ」と同様なことがあるのだが、
  山中氏は最初から高橋和利氏の名前を出して発言を
  して居られた。 この辺の態度に感動したが故に、私は、
    ▲ 山中教授のノーベル賞(1):[C-293]、 
   の様な書き方をしたのだった。
以上の話は理系の専門分野での仕事を見てきた人でないと
   分かり難い事情もあるので、次回の記事に
   やや詳細な説明を記載する。

     ★ ★ ★ ★ ★

山中氏と同時に受賞したジョン・ガードンは1962年に、カエルの
  研究で、大人の細胞が受精卵の状態に戻るということを、
  核移植技術で証明した。
まさに半世紀前に、山中氏の研究分野を開拓したのであって、
  その流れが無かったなら山中氏はこの分野に入ることは
  無かっただろう。 また、ガードンは自身の仕事をした時に、
  それが遥か後になってこの様な実を結ぶことになるとは
  想像もして居なかっただろう。 

その辺は、2008年に化学賞を受賞した下村氏:
     {▲ 日本人四人のノーベル賞受賞:[A-90]、参照}、
   の業績と同様である。 
仕事をしている本人でも、その時点で興味深く感じてはいても、
    上げた業績の結果の数十年後の進展は予測していない。 
  文明、狭くは科学技術の進歩にはこうしたことが起こる
            のは教訓的である。

山中氏がガードンと同時に受賞できたのを、「一番うれしい」、
  と言っている姿に、本当の研究というものを承知している
  のが見えて、実に好感を持てる。

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