シベリア抑留者の問題

第二次大戦の終戦直前にソ連が日本との条約を破棄して参戦し、満州などから旧日本軍将兵ら57万人以上をシベリアなどに連行移送して,抑留し強制使役したことは、当時物心ついていた年齢の人は誰でも知っている。
そしてある程度社会的意識に感度を持っていた人ならば、ソ連は単に労働力として旧日本軍人を使っただけでなく、戦後の対日活動に利用する為の手段として「いろいろなこと」をしたのに気付いている。
例えば抑留者に思想教育を施して、共産主義を受入れ親ソ的な思想を持った人物は早期に帰国させて、国内で暴れさせたり、逆にソ連に批判的な人物は現地で辛い目に逢わせるだけでなく、最後まで帰国を認めずに延ばしていたこと、などである。

友人たちのブログ記事では、
瀬島龍三「幾山河」:[A-65]
60年前の回想(3):[C-204]
ブログの存在意義:[L-9]
などにも、その辺の事情を,,見て取ることの出来る事実がある。

ところで、ソ連治安当局公文書が秘密指定を解除されたので、「矢張り」と思うような事実が、8/13に明かになった

ソ連が抑留者をスパイ活動に利用していたことは、1954年のラストボロフ事件(在日ソ連代表部職員の米国への亡命)で表面化していたが、そのエージェントの選抜・訓練が組織的に行われていた実態が裏付けられた。
旧ソ連秘密警察、内務人民委員部(NKVD)戦争捕虜・抑留者作戦部が50年に作成した総括報告書(ロシア国立軍事公文書館に保管)によると、エージェントとして徴募された日本人抑留者は94人だった
ソ連は対独戦中の42年末に組織的に捕虜・抑留者からのスパイ訓練を始めていた。 そのための物質的、精神的に揺さぶりを掛ける実態が分かる。

上記に引用した友人たちののブログ記事に見られる、昭和20年代前半の日本における左翼活動の猛威は、矢張りこの様な裏があったのだなあ、と納得がいく。

この記事へのコメント

Alps
2011年09月01日 14:04
五味川純平著「人間の条件」の主人公・梶上等兵に対する公然たる虐待を考えると、人間も究極は獣めくものになるのかと恐れる。それが本論のシベリヤ抑留者の実態と重ね合わせて現実のものとなった。
しかし其処まで追い込んだ元凶を考えると「軍という魔物」が憎い。それにご都合主義的な人間の根源的な弱さも。
変人キャズ
2011年09月01日 15:45
「人間の根源的な弱さ」、と言われてしまえば、なんとも言いようはないのだが、20世紀のソ連のしたことは、「ご都合主義」の範囲を超えて、「人間の条件」を踏み外していると思います。 昭和20年代前半の日本で、郵便局長だとか、国鉄駅長などの、いわば末端管理職を潰して社会から誠実さを消滅させた根源が、この度明らかになったようなソ連の行為にあったことは、忘れてはいけないと思います。

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