「青い革命」の赤崎勇

毎日新聞の“憂楽帳(2010/12/21)”に「青い革命」
  と題する一文が載っている。 部分的に引用すると、

『LEDは以前、赤と緑しかなかったが、青の発明で
   白を含む全色が出せるようになった。
   量産技術を開発した中村修二・米カリフォルニア大
   教授が有名だが、最初に発明した功績者は
   赤崎勇・名城大教授(81)だ。

   その開発は、まさに自分との闘いだった。
   狙いを定めてから成功するまで実に16年。
   その間、世界中の研究者が見切りをつけ、
   「まだやっているのか」と言われた。
   論文も出せず、信念だけが頼りの苦しい年月だった
   という。 (中略)

   技術革新を招く研究の芽を評価するのは、時の
   科学界の権威筋ですら難しい。 事業仕分け人の
   成果主義を批判するだけでは済まない課題だ』、
     とある。

      ★ ★ ★ ★  ★

国家公務員(国立大学教授も、国立研究所職員も当然含まれる)
   の取得した国有特許の使用料の一部は、発明者に
   報奨金として支払われるのだが、全公務員の報奨金
   (毎年4億円ほど)の96%は赤崎教授に行く,、そうだから、
   その発明の大きさが分かる。

と同時に、上記の引用文の最後の2行の重大さ
                 が理解できる。
 昨年ノーベル賞受賞者の発言、を聴いても分かる通り、 この
   “研究の芽の評価”、は困難というよりも、不可能に近い:
   ▲ 「成果主義」について:[C-152][2007/7/9]
   ▲ {[3a]プライオリテイ尊重事件}:[C-7][05/4/23]

      ★ ★ ★ ★  ★

我等理系グループの仲間は、赤崎教授がよく16年間耐えた
   と感動すると共に、それを許す環境に居た赤崎氏を
   幸せであったと慶ぶのである。
研究者とか教授とかの名の付いている上司でも
   日本では90%の者は、部下が一年間論文を
   書かずにいると、嫌味を言ったり,叱責したりする。

例のY君は、秋の学会での研究発表に春の学会のときと
   同じテーマのものを出そうとしたら、上司の教授に、
   「いつまで同じ仕事をしているのだ」、と叱責され
   そんなことでは教授に昇格させる訳に行かない、
   と脅迫された。
これは、Y君の上司が特別に出来が悪いのではなく、
   日本では殆どの学者が、そんなものである。

本当の研究者と言えるような人達が、学会会場で
   顔を合わせると、その種の話題に花が咲くのが常
   である。 それで、赤崎氏が幸せであった、
   と慶ぶのである。

      ★ ★ ★ ★  ★

温和な性格で人柄のよい赤崎氏には、周囲の見る目も
   寛容であった事情もあるだろうが、世界中の
   同業研究者が見切りをつけ、「まだやっているのか」
   と言うほどの仕事ぶりを許す環境、に居たことが、
   赤崎氏の幸運であった。

その環境に移る前に赤崎氏のいた職場で、後にノーベル賞
   を取ったE氏が不愉快な思いをして、遥かに後まで
   E氏は経歴にその事実を書かなかったことは
     ▲ 2010秋の叙勲と褒章(2):[B-141]
   に書かれているとおりだ。 上司が悪いと、ノーベル賞級の
   資質を持つ人間でも、能力を伸ばせずに埋もれていく。

実は、赤崎教授とY君とは、若い時に同じ会社の
            同じ場所で働いていた。
   なお、この種の人間関係を、更に紹介すると、
   阪神大震災を予知して自宅と家族を救ったYD君は、
   同じ工場の同じ部屋で赤崎氏と正に机を並べていた。

半世紀経った21世紀の現在、夫々の人生がこの様に
   多彩なものになると知らずにいた当時が懐かしく
   想い出されると同時に、
   人々の運命というものに、怖れを感じる。

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