(独り言54)住宅問題とOD問題

住宅問題とOD問題               81.2.2

★ 一月に行われた東京都住宅供給公社の住宅分譲の応募状況が発表された。  競争率は全戸平均で368倍というすさまじさ。  最高に至っては2573倍で、公営分譲住宅としては史上最高であったという。  GNP第2位を誇る経済大国の、国民生活の実態をよく示すものといえよう。
ところで、この応募申し込みに行ってきたA君が、ひどく腹を立てていた。

それは新築された2棟の高層建築には、全部で236戸分の居住空間があるのに、今回の一般募集分は74戸だけで、他は別ワクである。
公社職員の説明によると、敷地区域にあって撤去された都営住宅の居住者のための保留分だという。


★ A君の説によると、
そこの都営住宅の居住者達は戦後A君らが入居資格がなかった頃に比較的高所だったため入居できた人たちである (現在、高額所得者は公営住宅の入居資格はないが、昔は逆に低所得者が入居できなかった)。
 A君らが高い民間アパートで間借りしていた頃、安い家賃の恩恵を受けてきた人たちである。
それが今度はA君らが千倍を超す競争率で振るわれるのに、彼等は優先的に家が確保されているのは、不合理だ、というのだ。


★ A君の話を聞いていて連想したのは、大学院博士を修了したものの、就職先を得ない、いわゆるオーバードクター(OD)の問題である。

現在30歳代後半から40歳代前半の、大学助教授クラスの人達が博士課程を終えた頃は、折りからの大学拡張ブームのおかげで、かなり出来の悪い博士様も金の卵扱いで迎え入れられた。
十年後の世代の人たちはいかに優れた人材でもポストがあかない以上、能力を発揮する場が与えられない。
 


★ 常識的な見解としては、新しい高層公営住宅建設のために立ち退かされた旧住宅居住者には優先入居を認めるべきであろうし、新しい有能なODのために無能助教授をクビにしてポストをあけることはすべきでないだろう。
だが、これが社会正義というものだろうか、 という懸念も、いささか残るのである。



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註記:「私の独り言{前置き[1]}:2005/4/21」に述べた理由で、このシリーズの記事を多数並べているが、これらの中で筆者として最もお読み戴きたいのは、次の2編です。
◎[11]私の独り言{明治生まれ:1979/5/26}[2005/7/6]
◎[9]私の独り言{血税の使い方:1978/4/5}:[2005/07/04]
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