(独り言21)「研究環境」

研究環境                    78.?.?

 技術貿易にも保護主義の風潮が出てきた現在、何度もむし返された話題だが、日本の基礎研究体制の差異をもう一度考えてみる必要がある。

 大学などの研究について毎度指摘されるのは、研究費の額が少ないことである。
それももちろん問題だが、そのただでさえ不足の予算が、有効に生かされない仕組みになっていることの方が、私にはいっそう重大に思われる


★ 米国では、大学教授が委託で得た研究費は、物品の購入だけでなくグループ作りの人件費にも、外国出張旅費にも使用できる。
教授の責任と判断によって、最大の成果を生み出すために、もっとも有効な方法で使用される。

 一方、日本の官庁研究所などでは、研究費の使用は細かな規則に縛られていて、人件費・旅費などへの使用は論外として、物品の購入さえままならない。
実際上、物品購入の可否を決めるのは、研究室でなくて、会計課の事務官である。
このため、しばしば妙なことが起きる。



★某研究所のA氏が、
イカの神経を使用する生化学の基礎研究を企てたら、”さしみにして食う疑い”、をかけられて、イカを研究費で購入してもらえなかった。
彼は毎日自分の小遣いでイカを買っている。

 某大学のB教授は、
電気冷蔵庫の購入が、”ビールでも冷やすのではないか”、と会計課の役人にかんぐられて認められなかったので、私物の冷蔵庫を研究室に持ちこんで研究をしている。
私物を研究室に置くのは違法行為だから、毎年会計検査の時期になると、重い冷蔵庫を自宅に運んで、検査に引っかからないようにするのが大変だ

 、という。

 会計課の事務官は
「研究ができるか、できないかは私は知りません。
しかし、さしみを食われたり、ビールを飲まれては、私の責任になります」

と云うようだ。

研究の進まないことは事務官の責任にならない。
 ここに日本の役所に共通の一つの問題点がある、と私は思う。



 無用な役人の存在は、汚職役人よりもタチがわるい。
彼等は年間数百万円の給料を泥棒するだけでなく、現場の仕事の邪魔をする。
研究費の多少以外に、このような研究環境の差異も、考えてみる必要がある。







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註記:「私の独り言{前置き[1]}:2005/4/21」に述べた理由で、このシリーズの記事を多数並べているが、これらの中で筆者として最もお読み戴きたいのは、次の2編です。
◎[11]私の独り言{明治生まれ:1979/5/26}[2005/7/6]
◎[9]私の独り言{血税の使い方:1978/4/5}:[2005/07/04]
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