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zoom RSS 60年前の回想(10)

<<   作成日時 : 2010/05/02 05:46   >>

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戦前には、 日本の最上位の国立高等教育機関、
  および研究機関、として設置された、帝国大学が、
  内地に7校存在した。
  東京、京都、大阪、東北、九州、名古屋、北海道である。
  外地の2校をこれに含めるかどうかは、議論の
  分かれるところである。
敗戦後、1947年に「帝国大学令」が、「国立綜合大学令」と名称変更され、
  それに伴い各地の帝国大学は改称し、学制は保持
  しつつも、帝国大学の名は消えた。  その後、
  1949年の学制改革により新制大学に包括され、
  1962年に旧制大学は廃止されて、
     「学制上の帝国大学」、もなくなった。
国立大学は、行財政改革の一環で、2004年に
     国立大学法人化された。
 その主要財源である運営費交付金は、当初、
  1兆2400億円ほどだったが、小泉首相の方針で、
  毎年度1%ずつ減らすことが決定。 その削減目標は、
       鳩山内閣で撤廃、するまで継続した。
★ ★ ★ ★ ★ 
大学という文字は同じでも、新制大学は、
  旧制高等学校、旧専門学校の格上げ、統合などで
  発足した経緯から、旧帝国大学に比べて弱小なのは
  否めず、数も大幅に増えて、 官僚支配が容易
  になった。 
 それでも、国立大学の総数が二桁であるうちは、
  未だ良かった。    が、現在では、
  「そんな名前の大学があるのか」、と、 
  教育関係者でも「知らない名称の大学」
  が大部分になって、「ラーメン大学」、がお笑いの
  ネタになった時代が、懐かしい。

官僚支配が容易になった結果の、最も
  象徴的な大学関係事件は、多人数教育事件と、
  文部次官の大学学長への天下り事件、
  である。  (大学紛争は、官僚支配とは、別)

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

新制大学発足後に、大学の数が激増したのも、
     日本の官僚制度の欠陥、の象徴である。
官僚は何かを作れば業績になり昇進のネタになる。
  作ったモノは、道路であっても、箱モノであっても、
  制度であっても、何でもよいし、それが国益に
  プラスであるかマイナスであるかも、問われない。
地方の利権に結びついた政治家と結託して、
  熊しか通らない道路を作るのも、新しく大学を作る
  のも、官僚の業績になった。
  学生の質が悪さなどは、全然問題にならない。

{現在では、短大などを除く大学の数は773、
       大学生の総数は284万人}
こうして現在の、分数計算も出来ないし、
   ローマ字も読めない大学生の氾濫となった。
★ ★ ★ ★ ★ 
40年くらいも昔の「多人数教育」騒動では、
  全国で60校ある国立大学は挙って文部省の提案を
  拒否した。
  経済効率ということで、日本の官僚の考えそうな
    こと、であるが、教育というモノの本質、からの
    着想でないのは明白だ。
当然、東大、京大、などの名門大學は勿論、全ての
   国立大学が反対し、最初から問題にしなかった。
 ところが文部官僚は4つの弱小大學に、
   、受け入れさせることに成功し、実施した。
 これら4つの弱小大學には不見識な政治屋教授が
   いたので、官僚は彼らをうまく利用したのだ。 
              それはこういうことである。
★ ★ ★ ★ ★ 
多人数教育を押し付けようとしても、
  普通の国立大学の教授達は、研究者・教育者
  であるから、 勿論、言うことを聞かない。
 しかし、彼らの多くは自身の研究には熱心でも、
   大学全体の管理運営などには、あまりタッチ
   したくないと思っている。  学内の会議に出席
   することを、雑用と感じている教授も多い。
 ところが、これと逆に、 研究などには全く意欲も
   実績もないが、町内会のような会議、の好きな
   教授、が居る場合がある。

   「研究せぬ研究者」: [C-50]:[2005/8/15]:参照

本来、この手の人物が大学教授になることが
  間違っているのだが、この種の人物は、
  「井戸端会議好きの主婦」、と同様で、教授会で
 長時間おしゃべりすることが、唯一の楽しみである。

大学の数も、大学教授数も少なかった当時は、
  大学のあらゆることを決めるのが教授会の仕事
  だったので、便所の扉の色を決める議論を、
  会議好き教授が午後から始めて深夜まで続けても、
  発言自体には誰も文句は言えない。
研究・教育だけに関心のある教授は沈黙していたり、
  退出して研究室に戻る。
  次回からは出席しなくなる人も居る。

こうするうちに、会議屋教授が、学内のあらゆる問題
  の決定をするお粗末な大学、も出てくる。
 扉の色だけでなく、学科編成でも、授業科目でも、
 少数の会議屋教授が、全てを政治決定する慣習
 になっていた。
大学に箱モノを作るとき、学内政治屋を使えば、
 大学の自発的希望 という体裁で、虎ノ門官僚の
 考えの施工者を選定することが出来る。
★ ★ ★ ★ ★ 
この様な「学内政治」専門の教授が主導して、
 多人数教育を受け入れた大学が、4大学あった。
 勿論、文部官僚が意図的に手を廻して、これら
  政治屋教授の学内政治活動を援助したのだった。
その政治屋教授の言うことを聞く教授には、予算や
  定員を特別に付ける、などである。
 その政治屋教授の定年後に私学への再就職を
  世話する約束とか、定年後の叙勲も餌にした。

この様な会議族・政治屋教授に、操られる一般教授
  の無節操も情けないが、矢張り金や定員を握って
  いるのは、虎ノ門官僚であり、 学内に無定見な
  政治屋教授が居るかどうかが、官僚の考えを
  実施することが出来るかどうかの岐路になった。

こうして当時約60校あった国立大学の中で、山梨、
  山県、電気通信、名古屋工大の4大学が、
  大学の自発的希望という体裁で、
       多人数教育を開始
した。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

この4大学は、その後にもいろいろと問題行動
 があって、 例えば教授会構成員に学生を加える
  規則を制定して、後からその訂正に大騒ぎに
  なったとか、もあったが,極め付けの珍事は、
  山形大學学長に、文科省の次官が
            天下り
をした問題だ。
 教授会の議決に反して、学内のボス(政治屋教授)共
   が受け入れを推進して、揉めた件である。 
 官僚の天下り先は最近になっていろいろ表面化
   しているが、 国立大学学長に天下ったのは
   他に例が無いし、 しかも、教授会の議決に
   反していたとの報道もあったので、
              歴史的珍事だったと思う。
★ ★ ★ ★ ★ 
文部行政については、同じことを佐久間氏が以前に書いている:
   ▲「デノミの勧め・2」大学と大学教授 :[B-18] [2005/07/11]
   ▲伝統文化と常識の変遷(2) :[B-58](07/6/27)

なお、多人数教育は、教育の本旨に逆だ、 というので、
 少人数教育を目指す方向に、軌道修正された後も、
 嘗て多人数を推進した官僚にも、協力した教授、
 にも何も咎めが無いのは、 毎度どおり
のこと、である。

旧制高校、明治時代に創立された多くの一流私大が、
 英国の パブリックスクールに範を取って、
 全寮制とか少人数教育でのエリート養成を目指した
 精神が、  戦後の日本では、
 「紳士」的でない人物が権力を握って、破壊された
  のだった。
叙勲制度だって、代議士による、地方名士への
 恩着せの道具だとか、 中央官庁の無理な施策
 の推進策だとか、に利用されているのは知られて
 いるが、このような虎ノ門の思うような政策を
 大学に押し付けるのにも、使われたりしたのを
 見ているので、そんな使われ方をするような制度
 ならば、止めた方がよい。

★ ★ ★ ★ ★ 
尤も、戦前だって文部行政については、問題が有ったことを
ピアニストが指摘している:
   ▲旧制中学入試問題集 :[A-70]
当時の、権威のあった大学を相手には、出来なくても、初等中等教育相手には、こういうことをしていたのだ。 

            ★ ★ ★ ★  ★ ★ ★ ★
「教育問題」の関連記事リスト、は、
   ▲教育政策にモノ申す(1):[C-189][2009/10/15] 
「60年前の回想」記事リストと、◎異種・同様なリストの紹介が、
   ▲ 回想記事の目次(A):[C-223][2010/6/13] 、
にある。
★ ★ ★ ★ ★

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内 容 ニックネーム/日時
ローマ字が読めない大学生に驚いている、なんて、キャズ様は浮世離れしていらっしゃいますね。
現在ではA,B,C、27文字を全部は読めない大学生は幾らでも居ますし、それを指摘して覚えさせようとした教授が、学生にすごまれた、なんてこともあるのを、ご存じないのですね。
Mariko
2010/05/30 03:16

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