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zoom RSS 現代の大学生・(続)

<<   作成日時 : 2007/08/14 07:57   >>

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前回の記事:▲現代の大学生、を読んだ人が、Y君に連絡を寄越して、
     あれはY君のことかと、確かめてきたそうである。
あの記事で取り上げた大学の卒業生で、Y君の講義を受講した人物である。

考えて見ると、あの学部の性格から、卒業後インターネットに関わる仕事の
   分野で働く事が多いのは自然であるが、読者の少ない筈の
   私のブログ記事が、その様に、関係者の目に付くとは驚きである。
   尤も、英国在住のアイレン女史が松平定信への関心から、Alpsブログから、
   晩秋ブログへ、そしてピアニストの所まで飛んで行くのだから、
   時代の変化が、老人には信じられないくらいである。

その卒業生の要望に応えて、Y君の成績評価法の記事を、此処に追加する。
その卒業生にとっては、授業の内容よりも、成績の評価法の方が印象深かったらしい。

*********************************************

Y君は、あの大學では、原則的に二つの方法で、学生の成績を評価した。
   一つは、学年末に行なう一度の期末試験であり、
   もう一つは毎時間の授業の終わりに行なうテストの集計による
             平常点方式である。
毎年度末になると、学生の自身の判断で、任意にそのどちらかを選ぶのである。

実は、任意と言っても、平常点方式では、一学期の内に、
     「A」の成績が保証される点数を獲得してしまう学生もいるし、
     逆に年度末になっても、平常点では単位取得に至らない事が明白な
     学生もいたから、どちらの方式を選ぶかは極めて事務的であった。
     仮令成績評価が「C」であっても、平常点で兎に角、単位の取れる者が、
     危険を冒して期末試験を受けることは、有り得なかった。
その上、多年に亘る実績で、期末試験で単位を取得した学生は、たった一人だけ。
     あとは全員不合格であった、という実績があった。

但し、その例外の一人は、(期末試験での)成績評価が「A」であった。
     今回私の記事を読んでY君に連絡を寄越した人というのは、
     或いはその人物ではないか、とも想像するのだが、不確実である。

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Y君の平常点評価の方法である。
その大學では、出席カードというものがあって、(3cm)X(7cm)くらいの、
        大きさのカードが教員室に用意されていて、
     教員が学生の出席を取るのに利用できるようになっていた。
Y君は時間の初めにカードを配るのだが、単に出席を取るだけでなく、
     裏面の白紙部分を利用して毎時間のテストを行なったのである。

その日の講義で行なった重要事項について設問をし、
   授業時間の最後に出題をして、3分以内に教壇の箱にカードを
   提出したものに、0〜5点の点を付け、次の時間に返却する。
   年間平均で1点以下はD(不合格)、2点以下はC、
          3点以下はB、3点以上はA、の評価である。
   学生は皆、自分の現在の平常点が何点であるか、を知っている。


学年の途中で、Aの評価が約束された学生も、かなり出る。
   特に優秀な回答には、5点以上の6点とか、7点等が付く事もあるので、
   一学期の内に、Aの成績が保証される者まで現われる。
勿論、毎回300枚以上のカードを採点するのは、大変な労力だろう
     と想像するが、Y君に話を聴くと逆だそうである。

年度末になって、学生の父母がY君の自宅を訪れてきて、
   「息子の卒業資格に、選択科目取得単位が少しだけ不足している。
   先生の単位を頂ければ、今春に息子が卒業できるのですが、何とか・・」、
   と粘られる辛さに較べれば、この様にして学生全員の目の前で
   成績が公開されていれば、その種の陳情が無くなる。 気が楽だ、という。

学生にとっても、一年間分を纏めて試験されるよりも、
   その日、一日の講義だけの範囲で試験される方が遥かに楽である。
   また、その時間の終わりにテストがあるとなれば、授業中の集中度も
   上がるだろう、というのが、Y君の狙いであった。
   大教室の後方の座席に居れば、カード提出に時間が掛かり遅れるので、
   教室の前方の座席に座るだろう、との計算もあった。

現実には、いろいろと面白い場面もあった。
   例えば、出席カードを時間の初めに配るのだが、遅刻して入室した学生は、
   当然カードを貰えない。  ところが学生は学生で、いろいろな手段を
   持っていて、他の甘い先生の時間にカードを余分に仕入れておき、それを利用する。
ところが、Y君ほどのワルになると、その日に配るカードに特別なマークを
   入れて置き、分るようにしておく。
   そうすると学生の方でも、Y君相手には悪さは慎む。
出題後、3分以上時間を経過してから教壇の箱にいれようとしたカードは、
   その場で引き千切る。
 丁々発止のゲームの様なものである。

*********************************************

前記の、期末試験でたった一人、例外的に合格(それも「A」の成績で)、
     した学生は、前年その不正カード使用者であった。
平常点方式は相互信頼を前提にするものだから、一度でも不正を
     行った者には 平常点方式をY君は認めない。
     従って、前年に不正カードの使用の尻尾を摑まれた学生は、
     平常点で単位を貰う事は許されなかった。
     期末試験で、単位を取得しなければいけない。
彼は再履修の一年間の授業を、毎時間、教室の最前列に位置取り、
     緊張しきって聴講した。
     そして、期末試験を受験して、見事「A」の評価を勝ちとった。

彼はこの経験が、非常に嬉しかったらしい。
授業の最後の時間に、Y君に礼を言い、彼が読んで非常に感銘を受けた
推計学の本の中の数十頁の部分をコピーしたものを、Y君にプレゼントした。
彼は、Y君の授業から、専門的知識以上の多くを、学び取ったことは間違いない。

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キャズ君に限らず、Y君も相当に偏屈である。
我々全員が、今の時代の人から見ると、偏屈である。

しかし、文明の明治を生んだ高杉晋作、久坂玄随瑞、伊藤博文らを育てた松下村塾は、
たった1年余りであり、その松蔭は志を謳った「狂」への志向を常に語り、 更に
その松蔭が弟子入りした佐久間象山は、洋装で馬に騎乗して京の街を闊歩した
「変人」なるが故に殺されたのであった。


その佐久間象山の後輩である我々は偏屈である事に、誇りを持つべきかも知れない。
そして、たった一人でもよいから、
「期末試験で単位を取得(それもAの成績で)する力を身に付ける」若者を、
育て上げるべきなのだろう。

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