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<<   作成日時 : 2007/08/13 06:35   >>

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現代の大学生・晩秋ブログ挽歌

Y君がある有名私立大学で非常勤講師をしていた時の、経験談を語ってくれた。
それは、彼が隠居する前、つまり20年以上も前の事だから、
   現在の大学の状況とは、かなり違うのだろうが、聞いて、興味深く思った。
というのは、その頃既に、我々の若い時代との落差が、余りに大きいのである。

大學進学率が、10%→20%→30%→40%→、と肥大して行った時代の話で、現在の様に、いずれ100%になろうという時代ではないが、
既に大学生社会は、“ギャランテイ型社会”から“ベストエフォット型社会”、への変換を遂げていたのであった。

***************

この『社会の仕組みの話』、を先にする必要が有るだろう。
これについては、坂村健氏の解説が分り易いので、
           引用して説明する。
“ギャランテイ(性能保証)型”の例は、「昔の電話」である。
  電話が繋がらなければ電話局に言えば何とかしてくれた
  ように、 お金を払えば、お任せで完璧な保証、を
                してくれる社会である。

その対極にある“ベストエフォット型社会”は、
     自由化の進んだ社会形態である。
   利用者が勝手に、電話機でもファックスでもを買って
   繋いでも良いけれど、 電話が繋がらないとか、
   不具合が生じた時には、電話局に言っても、
   電話機メーカーに言っても、埒が明かない。
   回線の故障か、電話機の故障か、接続方法の
              不具合か、分らないので、
   それの解決はユーザーの責任となるシステムである。

***************

昔は、大学生であるということで、ある程度の知性、
     教養、と常識を期待できた
       ”ギャランテイ(性能保証)型社会”であった。
     アルファベットも読めない文系大学生、分数の
     計算も出来ない理工系大学生、なんて
     在り得なかった。

Y君の大學の卒業予定者ということで、ある会社の
     入社試験を受けに行った若者が、
     面接している間に、分数の計算も出来ない学力
     である事が分かった時に、会社の人事部長は
     大學に怒鳴り込んだ事を、以前の記事に書いた。

それが社会形態の変遷の過渡期であった。
     それ以前には、出来の悪い学生に
     卒業見込み証明書を渡すことは、
     考えられなかったから、
             人事部長は怒った。
     今ならば、会社側も怒りもしないし、
           驚きもしないであろう


大學の製品に責任を期待しないのが、社会の常識
     になったからである。

***************

尚、蛇足を付け加えて、「俺は、大學で勉強をしなかった
                 けれど、免状を呉れた」、
   という方に申上げる。
   貴方は自分では大学卒業者の心算で居るけれども
   そして世間の人は貴方のプライドを痛めないように、
   それを認めたような顔をしているけれども、蔭では
   貴方の居た学校は、大學としては認めていない
貴方でなく、貴女も同様で、蔭では貴方の居たところを、
   ○○女子大とは呼ばずに、○○花嫁学校と言っていました。
幼稚園と保育園を区別していたように、本物の大學と、
   貴方の在籍した「遊園地」を、世間では
   はっきりと区別して認識していたのです。
以上蛇足を失礼。

***************

前の記事:▲ 旧制高校・晩秋ブログ挽歌
に述べたように、我々の仲間では、今回の「晩秋事件」の別因は、
ギャランテイ型社会からベストエフォット型社会への変換した処にある、と認識している。
 旧ギャランテイ型社会を知らない人が多い現代にあっては、
   私の様な両棲類の老人が挽歌を書く責任が有ると思って、
   敢えて、あの記事を書いた、と述べた通りです。

*********************************************

話を本題に戻そう。  例のY君が、ある有名私立大学で
     非常勤講師をしていた頃の、経験談である。
彼の担当科目は必修科目でなく、選択科目であるから、
     学生が聴講するかしないかは任意である。
それなのに何故か、彼の講義の受講希望者は
     非常に多くて、収容定員350名の大教室が
     毎年満席になり、しかも学年途中で目減りが
     なくて、最後まで略当初人数の受講者が
     いるのだそうである。
学年最初の講義の時間に大教室の机が満席で
     座れない学生達が、通路から教壇前の床
     にまでに座っていて、 更に教室に入り切れない
     学生が、教室外の廊下に立ち尽くしていたので
     Y君が頭を下げて、受講を遠慮してくれと
     頼んだ事まで有ったという。
毎年、受講学生に全部単位を付与する教師ならば
     分らぬでもないが、Y君はかなり多数の
     不合格者を出す厳しい教師なのを、
     学生は先輩に聞いて知っている筈である。
その辺の若者の気持は、私には理解出来ないのだが、
私が此処で取り上げたい問題は、その点ではない。 次の事柄である。

それ程の状況ならば、学生はさぞ熱心に聴講したのか
  というと、それが違うと言うのである。  毎年の受講生
  300人余りの学生を、授業中に見ていて、完全に理解して
  聴いているな、と分る者は、たった3人くらいだったという


理解できるか出来ないかは資質の問題ではなくて、
  聴講に集中しない、例えば出席して居ても、科目とは
  関係のない本を読んでいる学生がいた、ということである。

学生の方では、この大教室の中で自分一人位何をして居ても
  分らないと思っているが、教壇から見ていると一人一人の
  学生の挙動が非常に良く分かるのだそうである。
  たった90分の授業時間を集中力を維持継続できなくて、
     途中から居眠りを始める者、
  最初から座っているだけで、講義とは無関係の本を
  読んでいたりする者などが、よく分るのだそうである。
難しい話をする時に、一人一人の学生が理解したのか、
  理解できていないかなども、 教壇から明確に分る
  のだそうである。

処で、学生の学力をA,B,C,D,の4段階に分ける時、
     Y君の講義は、Cレベルに合わせて進める。
Aクラスの学生に対しては、進行が鈍いうえ、同じことを
  二度三度と繰返すので、煩わしくて申訳ない、
  と思いながら講義を進める。  これは、Y君でなくても、
  他の多くの教授も採用する方法だろう。

ところが、理解能力の劣る者に限って、一繫がりの話の途中で
   集中力が切れて居眠りを始めたり、何か他の事を
   始めたりする。 余程、目に余る場合を除いては、学生を
   名指しで注意したりはしないが、そのまま進んでは
   先の話が理解できなくなるので、Y君は仕方ないから、
   同じ話を繰返し話すことになる。
理解力のない者、集中力の足りない者にもある程度の理解
   をさせるのが、教師の務めだと思って、努力をしたわけである。

しかし、話題に依っては、必ずしも全学生に理解して貰わなくても良い。 
     分る者だけに情報を吸収して貰えば良い話題もある。
     その様なところでは、Aクラスの学生の顔だけを見ながら話を進める。
その結果の、Y君の認識が、あの有名私立大学での毎年の受講生300人余り
     の学生を見ていて、理解して聴いている者は3人くらいだった、という。

*********************************************

そうして見ると、“ベストエフォット型社会”、のシンボル的存在であるインターネットで生まれたブログで、『晩秋事件』のような事が発生するのが寧ろ当たり前であって、
それを気に病むことの方が間違っている。


例えば、交通システムなどは、“ベストエフォット型社会”、の、
     もう一つのシンボル的存在であるが、飛行機が落ちるのが怖いから乗らない、
     というのでは現代人でない。
老人も飛行機に乗って外国旅行に出掛けるが良いし、ブログをやるのが良い。

 但し、佐久間先輩の様に、東芝マ研の有名な例を引用して、
   奥床しく窘めても、昔の大学生とは違って、『その3行』、が
   どの字句であるかを、自身が追跡勉強するような人物は、
   350人の内3人しか居ないのだから、無駄である。
     相手の面子などは気にせずに、もっとダイレクトに、
     この3行の文章が・・・、と指摘してやることが、必要
なのである。

それをしないのならば、坂村氏が解説しているように、
文句を言われ時には、「相性が悪いようです」と言って放置するのが、
“ベストエフォット型社会”、
であることを、 老人は知らねばならない。

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