変人キャズ

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画「哀愁」の話

<<   作成日時 : 2007/05/15 00:31   >>

トラックバック 5 / コメント 0

二人のピアニスト氏が、船旅の船上シアターで見た、往年の映画の感想を書いている。 (船旅のご報告(2) )。

「往年の名画」、と現代の映画やTVドラマの違いは、
  「映画製作者の質の低下」、 の他に、
 ”「観客の人生観の変質」、 に依って生じた、”
      という趣旨の感想である


 「人生に、恋は唯一度」   「恋は、年に一度」
と変化した世相の変化が、映画やTVドラマの変貌の原動力ではないか、ということである。

この点は、私も同感であり、納得する。 従って、船上シアターに集った老人達が、
 『現代の若い人々が、何不自由が無く、生きていけるのは喜びながら、世相が上のように変ったことに不満』
  を感じる気持、も理解できる。
 『食うもの、着る物、に何不自由が無く、豚の様に生涯を過ごす現代の人々に、言葉の通じないもどかしさを感じる世代』、
  という感覚も共有できる。 


ところで、ピアニストのブログ記事で、 上の表現が現れた文章は、
あの「哀愁」の冒頭、出陣に先立ってウオーターロー橋に立寄る、クローニン大佐(ロバート・テーラー)が、自分の人生を回想する場面を、
この船のシアターに集まった、老人たちが見て感じる感想、として出てくる。

あの時代に青春を送った多くの人達と同様、「哀愁」を何回も見ている私も、実は最近また、この名画を何度目かに観て、幾つか感じる事があった。
特にこの冒頭の場面には思い出があるので、書いて置きたい。


 ★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★ ★ ★


40年前に私は始めて機会を得て、ロンドンに行った。
その時に、私はロンドンに到着し、ホテルにチェックインし、荷物を解くなり、真っ先にしたことは、ウオーターロー橋に向かったのであった。
勿論、「哀愁」の思い出の場面をこの眼で見る為である。


ところが、地図を頼りに辿り着いた橋は、私の記憶の中にある、あの映画の場面の橋とは、全く違うのである。
実は、その前年に“二人のピアニスト”も、ロンドンに始めて行き、ホテルに着くなり、この橋に行き、感動した、との話を聞かされたのだが、橋が映画と違うとの話は無かった。 それ故にこそ、ピアニストも感動したのである筈である。
映画の記憶にある、あのガス灯の柱の立った橋との相違を納得できなかった私は、コンクリートの現代的な橋の上を通り掛かった初老の英国紳士に尋ねた。
「これは、本当にウオーターロー橋ですか」と。  相手は応えた。


「貴方は,、映画『哀愁』で見た橋と違うので心配しているのだろうが、これは間違いなく、ウオーターロー橋である。
映画に描かれていた橋は改築されて現在の姿になったが、昔の橋のあのガス灯の柱は、この橋の下に降りれば川の岸辺に保存されているから、見ることが出来る」

と教えてくれた。

何の説明も無しに橋の名前を聞いただけの私に、これだけの説明をしてくれた、あの紳士は今にして思うと、大した人物だったと思う。
が、その時には私は、唯、間違いなく「哀愁」の現場に居る事を確かめたい気持だけであったので、その紳士とは、それ以上の会話は持たなかったのが、残念である。


 ★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★ ★ ★


英国での用件が終わり帰国すると、映画館で「哀愁」が掛かっていた。
既に何度か見た映画であるがロンドンで現場に行ってきた、という感動があるので、飛び込んで観た。

何と、映画の冒頭、及び、最後の場面。 出陣に先立ってウオーターロー橋に立寄るクローニン大佐が、自分の人生を回想する場面に映る橋の姿は、私が先日ロンドンで見てきた橋である。
そして、物語の進行の途中に写る橋は、第一次世界大戦の時代であるから、あのガス灯の柱のある欄干の、昔の橋である。

それ迄に数回見ていながら、私はこの事に気が付かなかった。

あの英国の紳士は、「お前が注意深く映画を見ていれば、分った筈だが・・」とは云わなかったが、心の内では思ったことだろう。
恥しい事であった。 [註:二人のピアニスト君だって、気が付かなかったのだから、ザマア見ろ、である]

 ★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★ ★ ★


処で、本題に戻る。
今回また「哀愁」を見て、またも、今迄気が付かなかった部分が在ったことに、初めて気付いた。
主人公の女性マイラ(ビビアンリー)が、誤報と生活難に追い詰められて、恥しい生活をしたことに付いての、周辺の人物たちの対応の描写、に付いてであるが、長くなるので、此処では詳細は省略する。

非常に大事な処で、前回は見落としていた所に気付く、という事が、今後もまだまだ有るのであろう。
{前々回の記事:★感度の有無 (8):人類の限界:[2006/10/25] 、に書いたように}

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
交通違反の話
二人のピアニスト氏が、船旅の船上シアターで見た、往年の映画の感想を書いている。  {船旅のご報告(2):[A-42][2007/05/09]} ...続きを見る
佐久間象川
2007/05/15 12:53
昔のダンスホール(4)
1950〜1960年代のダンスホールでは、 閉館前の最後の一曲を、映画「哀愁」に現われた「蛍の光のワルツ」で締めるのが、一つの定番であった。その曲の掛かる頃から、ホール内の照明は暗くなり始め、演奏中に真っ暗になる。映画『哀愁』のクラブで、蝋燭が一本ずつ消えていって、真っ暗な中で、ビビアンリーと、ロバート・テーラーが、組んで踊る場面を思い出させるダンスホール側の演出である。 ...続きを見る
二人のピアニストに思う
2007/05/28 05:58
わが青春に悔あり
黒澤明監督の名作、「わが青春に悔なし」、 は1946年の作品で、原節子(当時26)の名演と共に、当時の世間の話題を攫った映画である。 映画は、戦前の京大事件から終戦に至る時期の世相の中で、京大事件の主役である教授の令嬢が純愛に生きる、ひたむきな人生の素晴らしさ、を描いたものである。 ...続きを見る
変人キャズ
2009/07/01 13:16
新春に思う(1)日暮硯
その時には分かった心算で居たが、後になって見ると    理解が不十分であったことに気付く、ということは    何度も経験している。    例えば、同じ映画を何度も見て、見るたびごとに    新発見があることを、      ▲ 映画「哀愁」の話 :[C-139] に書いたし、私に限らず、人間なんて所詮は       その程度のもの、  といううことを      ▲ 感度の有無 (8):人類の限界:[C-137]: に書いた。 ...続きを見る
変人キャズ
2011/01/03 12:26
映画「M・サッチャー」
只今大好評で上映中の映画「マーガレット・サッチャー」を、   昨3/26日に、Y君が見てきて、感動の心情をブログに   書いている。   実は、私の方が先に、その二日前に見に出掛けた   のだが、満席で入場できなくて先延ばしにしている。 . Y君のブログが、一般相手には非公開になっているのを   残念に思ったことは、以前にもピアニスト氏のブログ撤退   事件の有った時にもあったが、今回の映画感想記事   を見て、又しても同じ思いをした。  我々友人たちの間だけで留めて置... ...続きを見る
変人キャズ
2012/03/27 21:25

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画「哀愁」の話 変人キャズ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる